『さみしい夜にはペンを持て』のあらすじが知りたい!
大人でもためになる本?
『さみしい夜にはペンを持て』を読んだ感想は?
こんな疑問にお答えします!
「おもしろかったな」「感動したな」という感想しか出てこなかったことはありませんか?
自分は本当はなにを考え、なにを望んでいるのか悩んだことはありませんか?
この本を読めば、頭のなかを言語化する方法、自分と向き合う方法を知ることができます。
読み終わったあとは書きたくなります。
『さみしい夜にはペンを持て』を読むことで、書くことの価値やおもしろさがわかるでしょう。
『さみしい夜にはペンを持て』のあらすじ
うみのなか中学校に通うタコジローは、
学校にも居場所がなく、自分のことが大嫌い。
ある日、不思議なヤドカリおじさんと出会ったタコジローは
その日から、どんどん変わっていく…
引用元:ポプラ社
この本は、ベストセラー『嫌われる勇気』の著者である古賀史建さんによって書かれたものです。
物語はタコジローくんとヤドカリのおじさんの会話形式で進んでいきます。
会話の中でていねいに導いてくれるので、とっても読みやすいです。
そして、最後には感動も……。
中学生向けに書かれた本ですが、大人が読んでもおもしろく、たくさんの学びがあります。
『さみしい夜にはペンを持て』で共感したところ
すぐに言葉にならない
タコジローくんはおじさんとの会話の中でこう話します。
「無口っていうか、しゃべるのが苦手っていうか、頭の回転がにぶいんだろうね。うまくことばが出なくなるんだ。いじめられたりしても、言い返せないし。……」
『さみしい夜にはペンを持て』44ページ
ものすごくわかる……!
私もなにを言うのが正解なのかを考えたり、自分がなにを思っているのかがわからなかったりして黙ってしまうことがあります。
タコジローくんにすごく共感しました。
そんなタコジローくんに対して、おじさんはこう言います。
「『思う』と『言う』の距離が遠いだけ。ことばを外に出すまでに、時間がかかっているだけさ。決して頭の回転がにぶいとかじゃない。」
『さみしい夜にはペンを持て』45ページ
頭のなかの思いが言葉として口から出るまでには、距離があるそうです。
その距離は、近い人もいれば遠い人もいます。
おじさんはそれを、人それぞれの個性だと言います。
自分のダメだと思っているところを肯定してもらえたようでした。
「よかった」「おもしろかった」の感想しか出てこない
タコジローくんは読書感想文を書くとき、結局「感動しました」とか「おもしろかったです」という言葉になってしまう、と言っています。
私も「よかった〜」「おもしろかった〜」という感想しか出てこないタイプです。
おじさんはその理由について、答え(言葉)を決めるのが早すぎるからだと言っています。
あまり考えず、なんとなくいつも使っている言葉やよくある言葉を選んでいるんじゃないかと言うのです。
「もちろんさ。タコジローくんは、文章を書くのが苦手なわけじゃない。ただ、ことばを決めるのが早すぎる。手っ取り早く、便利なことばで片づけている。ことばを探す面倒くささに、屈している。……」
『さみしい夜にはペンを持て』85ページ
たしかに、なにを感じているか深く考えずにすぐ取り出せる「おもしろかった」に頼っていたのかもしれない……。
おじさんの言葉がチクチクと刺さりました。
『さみしい夜にはペンを持て』で心に残ったこと
この本では日記を書くことがすすめられています。
日記を書くことで思いを言語化できるようになり、自分のことがわかるようになっていくからです。
おじさんが教えてくれた日記を書くときのコツや考え方について、心に残ったことを5つご紹介します。
出来事ではなく考えたことを書く
日記を書くと、その日あった出来事を時系列に書いていく、という風になりませんか?
・遊園地に行った
・たくさん乗り物に乗った
・お昼ごはんを食べた
・また乗り物に乗った
・1日楽しかった
この書き方では、イベントがない日はなにも書くことがない!となってしまいそうです。
でも、日記とはその日にあったことを書くのではなく、その日になにを考えたのか、なにを思ったのかを書いていくものだったんです。
遊園地でジェットコースターに乗ったとします。
「あそこの坂こわそう。ドキドキするなあ」
「風が気持ちいい!」
「スッキリした!もう1回乗りたいな」
ジェットコースターに乗るだけで、いろんなことを考えると思います。
「その日考えたこと」を書くと、毎日違う内容になるはずです。
なにも書くことがない!と困ることもなくなって、楽しく書くことができそうですね。
スローモーションの文章で書く
日記をおもしろくするポイントのひとつは、スローモーションの文章で書くことです。
ひとつの場面を細かく区切って書いていきましょう。
たとえばさっきのジェットコースターに乗るシーンでも
・ジェットコースターの列に並ぶ
・座席に座って準備する
・発車を待つ
・ジェットコースターが進んでいく
・一気に降下する
・猛スピードで駆け抜けていく
・戻ってくる
このように、細かくスローモーションにすることができます。
意識していないだけで、どんな場面でもいろんなことを感じているはずです。
スローモーションの視点は「書こう」と思った瞬間に生まれます。
「書こう」と意識すると、感情をキャッチできるのです。
そうすると、表現豊かなおもしろい文章が書けるようになるそうです。
考えることは答えを出そうとすること
「考えるとは、答えを出そうとすることだ。悩みの解決に向かうことだ。たとえば選手宣誓について『いやだなあ』『やりたくないなあ』と思うだけでは、なにも解決しない。『いまの自分にできること』を考えてようやく、悩みは解決に向かう」
『さみしい夜にはペンを持て』230ページ
私たちは頭のなかで悩んでいることや不安なことを考えていると思います。
でも、頭のなかだけで考えていたら考えがまとまらないし、なかなか解決策にたどりつきません。
だから、自分の考えを書くんです。
頭のなかでなんとなく思っていることも、言葉にして書くためには考える必要があります。
書いて、考えて、いまの自分にできることを見つけて、悩みは解決に向かう。
これからずっと覚えておきたいことだなと思いました。
日記には「未来の自分」という読者がいる
日記は自分しか見ることのないものです。
書くのは義務でもなく、誰かから評価されるものでもありません。
だから、なかなか続かないこともありますよね。
でもおじさんは、日記には読者がいると言います。
「……ただし、たとえだれに見せるつもりもない日記でも、そこには『未来の自分』という読者がいるんだ」
『さみしい夜にはペンを持て』147~148ページ
そしてこう続けます。
「そう。半年後、1年後、3年後、もしかしたら10年後や20年後、きっとタコジローくんはその日記を読み返す。真剣に生きていた『あのときの自分』と向き合うことになる。これはね、書き続けた者だけに与えられる、最高のプレゼントなんだ」
『さみしい夜にはペンを持て』148ページ
書くことは考えること。
だから、日記を書くのがめんどくさくなって途中でやめてしまうこともあるでしょう。
でも、書き続けた人にしかもらえない最高のご褒美があると思えば、受け取ってみたくなりませんか?
未来の自分の楽しみは、いま自分で作れるんですね!
自分に自分のことをわかってほしいから書く
なぜ書くのでしょうか?
その答えのひとつは、自分に自分のことをわかってほしいから。
自分はなにが好きで、なにが不満で、なにをしたくて、どう生きていきたいのか。
人は自分のことが1番わからないものですよね。
日記では嘘をつく必要もいい子でいる必要もありません。
自分しか読まないからです。
ありのままの自分の悩みや喜びを書いて自分と対話し続けると、自分を知ることができます。
そして、だんだんと自分を好きになれます。
自分探しの旅というものがありますが、日記を書くことこそが1番の「自分探しの旅」なのかもしれませんね。
日記を書いてみてわかったこと
『さみしい夜にはペンを持て』を読んだあと、日記を書き始めました!
毎日は書いていませんが、実際に日記を書いてみてわかったことをご紹介します。
意外と考えていた
私は感想や意見を出すのがとても苦手で、「考えられない」というのがコンプレックスでした。(今もそうですが)
でも日記を書き始めたら、あのときこう思ったな、というのが出てきます。
今までは「全然考えられていないなあ」と思っていましたが、出来事を思い出しているとそのとき思っていたことが出てきます。
「意外と考えたり感じたりしていたんだな」という発見があってびっくり!
おじさんが言うように、人は無意識のうちにいろいろ考えているようです。
それを言葉にできるようにするのが大切ですね。
日記に書こうとすることで「いまの感情」を認識できるようになった
日記を書き始めると、その日あったことや感じたことを覚えておこうという意識が出てきました。
なので、普段の生活のなかで「あ、いま自分はこう思っているな」とか「自分の考えはこうだな」ということを自分で認識するようになりました。
いままでだったら無意識に感じていることはあっても、言葉にすることがないまま消えていっていたと思います。
いまの自分の感情を捉えられるようになったことは、日記のうれしい効果です!
時間がかかる
書く前に「よし!今日はこのときのことについて、こういうことを書くぞ」と思っても、実際に書くと思った以上に時間がかかります。
書く以上は構成や表現などをちょっとは考えるので、「書くことは考えること」を実感している日々です。
書くのって頭も使うし時間も使うし、けっこうしんどいです。
いつか読み返すのが楽しみ
この本を読み始めたのは、言語化能力を鍛えたい、自分と向き合いたいという思いがあったからでした。
その思いはいまも同じですが、他にも楽しみができました!
おじさんは、日記は自分が読みたいから書くんだと言っていました。
何年後かに読み返すき、「次はどうなるんだろう?」と、物語を読むのと同じように自分の日記を楽しむことができるのだそうです。
いまの悩みや喜びを未来の自分が笑って読めるように、楽しみにしながら書き続けていこうと思っています。
【感想】自分を好きになりたい大人にも読んでほしい
この本を読むことで、文章を書くのがうまくなったりすぐに人生が変わるなんてことはありません。
でも、書くことで気持ちがラクになったり、本当にしたいことが見えてきたり、自分を少しでも好きになれることはあるかもしれません。
「自分が好きになれない」「このままでいいのかなあ」と思っている大人の方はたくさんいるでしょう。
でも、自分とは一生お付き合いしていかないといけません。
そんな自分を好きになれたら、とても素敵だと思いませんか?
この本には書くことの大切さやおもしろさ、書き方のコツが書いてあるので、読み終わったら日記を書きたくなるはずです。
中学生だけでなく、ありのままの自分を好きになりたい大人の方にもぜひ読んでほしい1冊です。
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